人間には他者の痛みを癒そうという行動特性が観察されます。痛みを感じている他者との関係性によって、その理由は3通りに分類されます。
親しい人が痛みを感じている場合
その人の痛みを取り去れば、その人に喜びがもたらされ、自分もうれしい気持ちになる(教官に基づく報酬)
赤の他人が痛みを感じている場合
痛がっている人を見ると、同じように痛い気持ちになる(嫌悪感情減弱)
嫌いな人が痛みを感じている場合
痛がっている人を見放していると周囲の人に悪く思われる(教官に基づく罰)
これらの関係性を疑似的に再現した実験系を構築し、脳画像で検証した研究が紹介されています。
Kawamichi, Hiroaki, et al. “Helping behavior induced by empathic concern attenuates anterior cingulate activation in response to others’ distress.” Social Neuroscience 11.2 (2016): 109-122.
Kawamichi, Hiroaki, et al. “Prosocial behavior toward estranged persons modulates the interaction between midline cortical structures and the reward system.” Social Neuroscience 14.5 (2019): 618-630.
Kawamichi, Hiroaki, et al. “Activation of the reward system during sympathetic concern is mediated by two types of empathy in a familiarity-dependent manner.” Social neuroscience 8.1 (2013): 90-100.