病気がちな患者さんに対して歯の治療をする際には、たいてい持参しているお薬手帳をチェックする必要があります。内科で処方されている薬を見ればどのような病気に対して治療されているのかが推測できます。注射薬の場合はお薬手帳に記載されないものもありますが、一緒に処方されている内服薬によって注射薬が推測できることもあります。例えばデノタス(経口カルシウム製剤)が処方されていれば、抗LANKL抗体が注射されていて、がんの骨転移を推測するといった具合です。
病気が分かれば、歯の治療の際に注意することがはっきりとします。弁膜疾患があれば感染性心内膜炎を予防するために抗生物質を術前投与することがあります。高血圧症では治療中の血圧の監視や調節をします。脳梗塞や心筋梗塞の再発予防のために抗凝固薬や抗血小板薬が投与されている場合は、術中、術後の止血に心を配ります。
講師は明和病院口腔外科部長の末松基生先生です。私にとっては医局の後輩で、8年前に病院を訪れたことがあり、いくつか薬の使い方についてアドバイスしてもらいました。