ひぐち歯科、口腔外科・口腔内科メディカルインフォメーション |

電話:072-646-8445

さまざまなトラブルの原因となる「食いしばりと歯ぎしり」

症状・病態 2022年01月25日

通常、私たちの上下の歯は食事のとき以外は接触していないものです。たとえ食事中に歯が接触するとしてもそれは瞬間的なことで、その時間を丸1日分合わせてもわずか5分から10分間くらいです。もちろん、普段上下の歯は前歯や臼歯も含めて1〜2mm離れ、「安静空隙」という間隔を保っています。
ところが、ある特定の問題を抱えて当院に来られた患者様に尋ねてみると、上下の歯が常に接触している状態だという方が多いのです。いうまでもなく、これは「歯牙接触癖」と呼ばれる異常な状態で、歯の磨り減り(咬耗)や知覚過敏、顎関節症、舌痛症をはじめとする、様々な問題を引き起こす要因となります。
ところで、「歯牙接触癖」という言葉は、東京医科歯科大学顎関節治療部の木野孔司先生が提唱する「Teeth Contacting Habit(TCH)」の日本語訳で、日中無意識に行う食いしばりや睡眠中の歯ぎしりのことをいいます。いつも食いしばっている、あるいは毎晩歯ぎしりをしているという自覚を持つ人は少ないものですが、実はほとんどが無意識に行っているといわれています。
しかしながら、上下の歯が接触し続けると、多種多様な問題が生じる可能性があります。そこで、食いしばりと歯ぎしりについて正しい知識を持っていただき、上下の歯の接触をできるだけ避けて問題を解決に導くために、本項を執筆することにしました。次ページ以降、食いしばりと歯ぎしりに特有の深刻な問題点や治療法について解説していきます。

ページの一番上へ