歯科心身症の原因は不明とされ、演繹法や帰納法ではその原因を見つけることはできません。この論文ではアブダクションという方法を用いてその原因を探っています。
アブダクションは遡及推論とも呼ばれ、結果から遡って原因を推測する論理です。この論文では自覚症状をクオリアとしてとらえ、「記憶」が症状の原因となっていると推測しています。
- 歯科的症状や歯科治療に対する嫌悪的記憶
- 自覚症状の刺激が扁桃体で強化される
- 自覚症状の記憶痕跡が脳皮質に形成される
- 嫌悪経験をきっかけに記憶痕跡が再活動する
- 「刺激源なき自覚症状」が発現する
- 自覚症状の上書き・再固定
- 自覚症状の記憶が長期化する
中村広一. (2023). アブダクションによる 「歯科心身症記憶説」 の再検討. 日本歯科心身医学会雑誌, 37(1-2), 1-4.