シンポジウム「口腔に症状が現れる全身疾患へのアプローチ」で自治医大皮膚科の出光俊郎教授が基調講演をされました。皮膚痺症状が現れる内臓疾患をデルマドロームといいますが、口腔に症状が現れる場合はオラドロームといえばどうかと提案されました。オラドロームの類するものは多数の例を挙げることができます。
全身性紅斑性狼瘡(SLE)の無痛性口腔粘膜潰瘍
麻疹のコプリック斑
うつ病の身体症状としての舌痛症
マデルング病の際の舌の対称性脂肪腫症
ガードナー症候群の多発性顎骨骨腫
ベーチェット病、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病のアフタ性口内炎
基底細胞母斑症候群の多発性顎骨嚢胞
帯状疱疹の口腔粘膜初発
白血病、アミロイドーシスの歯肉出血
血友病の遷延性抜歯後出血
軽症スティーヴンス・ジョンソン症候群の口腔・眼症状
強皮症の舌小帯短縮症
多発血管炎性肉芽腫症の苺状歯肉
悪性貧血のハンター舌炎
アミロイドーシスの巨舌症
エイズの口腔カンジダ症
扁平苔癬は皮膚、粘膜に症状が生じますが、皮膚病変の診断は難しく典型的な口腔病変が診断に結びつきやすいそうです。頭髪に隠れた天疱瘡も見つけにくく、口腔粘膜のニコルスキー反応で診断できた症例も出てきました。