私が診察しているシェーグレン症候群の患者さんの主訴のほとんどは口の渇きです。血液検査で抗SS-A抗体が陽性と出ることは少ないのですが、唾液分泌量がかなり少ない場合、特に安静時分泌量が少ない場合には口唇生検を実施します。すると半分かそれ以上の症例で唾液腺組織へのリンパ球浸潤が高度な病理所見がみられます。グリーンスパン・グレードでいうと3か4です。
ドライマウス症状
唾液分泌量低下
ドライアイ症状
涙分泌量低下
高度リンパ球浸潤像
以上の4~5症状が揃っていて、アメリカ・ヨーロッパ改訂分類基準に基づきシェーグレン症候群と診断することが多いのが実情です。シルマーテストによる涙分泌量が低下している場合も低下していない場合もあります。
自己抗体が陰性のことが多いのですが、血液中に自己抗体が現れる前の唾液腺・涙腺の局所に病変が現れている初期症状をとらえているためだと考えています。
http://www.ibaraisikai.or.jp/treasure/chisivew/chisi-20b.html
◎シェーグレン症候群のヨーロッパ診断基準(1993年)
(内科 1995;75:1299:6月増大号『内科疾患の診断基準、病型分類・重症度』)
1. 眼自覚症状(3項目中1項目以上)
(a)3か月以上毎日続くドライアイ
(b)目に砂や砂利がはいっている感じを繰り返す
(c)1日3回以上目薬を使う
2. 口腔自覚症状(3項目中1項目以上)
(a)3か月以上毎日口内の渇きがある
(b)大人になってから繰り返すあるいは持続する唾液腺腫脹
(c)乾燥食物を飲み込むのに飲み物がいる
3. 眼他覚所見(少なくとも1項目以上が陽性)
(a)Schirmer-I 試験(5分間5mm以下)
(b)Rose-bengal 試験(von Bijsterveld score 4以上)
4. 小唾液腺生検(focus score 1以上)
5. 唾液腺病変(3項目中1項目以上陽性)
(a)唾液腺シンチグラム
(b)耳下腺造影
(c)無刺激唾液量(15分1.5ml以下)
6. 自己抗体(3項目中1項目以上)
(a)抗Ro/SS-AまたはLa/SS-B抗体
(b)抗核抗体
(c)リウマトイド因子
除外疾患:リンパ腫、AIDS、サルコイドーシス、移植片宿主相関病(GVH病)
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原発性シェーグレン症候群
確実例 6項目中4項目を満たす(6は(a)に限定)
疑い例 6項目中3項目を満たす
続発性シェーグレン症候群
確実例1または2と3,4,5のうち2項目が陽性
疑い例1または2と3,4,5のうち1項目が陽性