ブッダが編み出した瞑想により、物事をあるがままに受け止めていく方法をマインドフルネスといいます。「色即是空、空即是色」といいますが、物事をあるがままに受け止めることができれば、煩悩に執着することがなくなり、苦しみから解放されて悟りを開けるとブッダは述べています。
マインドフルネスを心理療法として取り入れた方法が「マインドフルネスストレス低減法」、マインドフルネスストレス低減法と認知療法を組み合わせたものが「マインドフルネス認知療法」、マインドフルネスと行動療法を組み合わせたものが「弁証法的行動療法」です。マインドフルネス認知療法と弁証法的行動療法は、第三世代認知行動療法とも呼ばれています。
第三世代認知行動療法には、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)もあります。ACTは応用行動分析から発展したもので、行動や思考をあるがままに受け入れることを目標とし、マインドフルネスと類似しています。
これからマインドフルネス認知療法について説明します。病気を患う人は始終病気のことに気を取られ、何事も病気や症状と関連付けてクヨクヨと悩みがちです。「反芻」という状態がこれに当たります。
ここで自分自身の呼吸、体の状態(ボディースキャン)、歩行など、日常的な活動に意識を集中させてみましょう。いつの間にか雑念が浮かんできます。病気の人は症状のことが意識に上り、集中できなくなります。
しかし、何が浮かんできても、それはそれとして置いておき、もう一度集中するのです。このような瞑想を繰り返すうちに、雑念が出てきてもそれは脇によけて、集中できるようになっていきます。これがマインドフルネスです。
マインドフルネスを続けていくと、「反芻」しながら症状にとらわれている状態から解放されていきます。症状は症状として脇に置いておき、今必要な作業をきちんとこなせるようになります。確かに病気にかかってはいるが、その状態に慣れてしまうのです。その結果、病気はあっても日常生活は支障なく継続できるようになり、延いては病気から解放された時間を楽しむことも可能となるのです。