シナプスに存在し、持続時間が長い興奮性シナプス後電位を発生させるNMDA受容体は、慢性疼痛の成立に大きな役割を果たしています。グルタミン酸受容体であるNMDA受容体は、安静時にはMgイオンによってチャンネルが閉じられています。何らかの刺激によってMgイオンが外れると、グルタミン酸がNMDA受容体に結合して痛みが脳へと伝わるのです。
論文の症例は三叉神経痛、筋・筋膜性疼痛、神経障害性疼痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)が合併した難治性口腔顔面痛です。プレガバリン、カルバマゼピン、アミトリプチリンの内服、自己マッサージ、星状神経節ブロックに加えて、硫酸マグネシウムとリドカイン塩酸塩の点滴で痛みが改善しました。MgイオンがNMDA受容体の活性化を抑えたのでしょう。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjop/13/1/13_49/_article/-char/ja