現在日本で使用されているワクチンは、感染、発症、重症化のいずれをも予防できるとされて導入されました。これらのワクチン接種によりBリンパ球による抗体産生という液性免疫やTリンパ球による細胞性免疫を誘導し、コロナ感染に備えられます。
感染や発症はワクチンがウイルスの増殖を抑えることで予防できるのでしょう。重症化はウイルス量が減少する時期に免疫反応の異常が生じることで起こります。ワクチンは免疫能を向上させるのですが、免疫反応が暴走する重症化の開始時期にどのように働いて重症化を予防するのでしょうか。この点を忽那先生に尋ねてみました。
感染前から免疫抑制状態の感染者は重症化しやすいわけではないとか、Bリンパ球の機能を抑制するリツキシマブを投与されている場合は重症化しやすいと懸念されるとかの解説はありましたが、ワクチンの重症化予防効果そのものについてはよくわかっていないようです。
重症化予防率はワクチン接種者とワクチン非接種者(偽薬投与群)との間で比較されています。発症者の中で重症化する患者の割合そのものを検討しているわけではないので、単に感染率や発症率が低いということだけなのかもしれません。