3月の中医学研究会で、神畠俊子先生(かみはた耳鼻咽喉科)はコロナワクチン接種後の激しい頭痛の症例を紹介されました。3回目のワクチン接種後に激しい頭痛が生じ、ロキソニン(非ステロイド系消炎鎮痛薬)もトアラセット(オピオイド系鎮痛薬)も効きませんでした。頭痛の他の症状として、耳鳴りと耳閉感がありました。あちこちの医療機関を受診しても痛みが改善しないため、11日目に来院されました。
コロナ感染症に対しては中国国家中医薬管理局が開発した清肺排毒湯が有効です。コロナワクチンの副反応に対しても同様に清肺排毒湯が有効です。清肺排毒湯は生薬を調合して煎じ薬として使用します。エキス剤の黄連解毒湯、小柴胡湯、竜胆瀉肝湯、越婢加朮湯、麻杏甘石湯を組み合わせると似たような効果が期待できます。
気滞、水滞、血瘀により耳鳴りと耳閉感が生じていると弁証し、黄連解毒湯、小柴胡湯、桂枝茯苓丸、五苓散、柴朴湯の組み合わせに変更して治療開始しました。6日後には頭痛が10分の1程度に軽減しました。