口腔外科の外来で診療していた遠い昔の思い出です。オトガイ下部から顎下部にかけて幾つものリンパ節が腫れた患者さんが来院しました。口や鼻、目などの感染症でリンパ節が腫れますが、悪性リンパ腫を見逃すわけにはいきません。結核性リンパ節炎、トキソプラズマ、伝染性単核球症、リンパ上皮性嚢胞、猫ひっかき病、野兎病、梅毒、全身性紅斑性狼瘡も考慮する必要があります。
当日はエックス線検査、血液検査をし、抗生物質の内服を開始しました。後日、エコーとCTを追加し、診断について思案していました。そのうちに自然に治ったことや画像所見、血液検査所見から、亜急性壊死性リンパ節炎であったことがわかりました。その後は同様の患者さんが来ても、そのうちに自然によくなるからと、落ち着いて診察できるようになりました。