期待した結果が得られないとなると、人はその原因について考えます。「自分に能力がなかったからだ」「今回はきちんと準備できていなかったからだ」、あるいは「上司の指示があいまいだったから失敗したのだ」と考える人もいるでしょう。
自分の能力に原因があると考える人は、失敗に対して否定的な考えを持ちやすく、無気力や抑うつといった問題を抱えやすくなります。失敗の原因を「自分の能力」のような内的要因、それも変えることのできない要因に帰属させる思考様式は建設的とはいえません。
挫折経験を糧に次の成功を勝ち取るために望ましいのは、「準備不足」や「努力不足」などの変わりやすい要因に帰属させて次回は努力による挽回を誓う、というような思考様式です。
このように、問題の原因の帰属先を変更させるように働きかける認知行動療法の一技法を「再帰属法」といいます。1975年にアメリカの教育心理学者Dweckが提唱し、初・中等教育での落ちこぼれ対策として開発されました。