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半夏瀉心湯の副作用

学会・研究会 2020年01月20日

がん化学療法に伴って生じる口腔粘膜炎に対し半夏瀉心湯は有効な薬剤であり、多用されています。この報告では口腔粘膜炎ではなく、慢性口内炎に対して用いられた半夏瀉心湯がアレルギー性の肺障害が生じたということです。症状は喀痰、咳嗽、胸部捻髪音、好酸球増多、CRP上昇、SP-D上昇、CT画像上の気腫性変化です。
半夏瀉心湯は黄今、黄連、乾姜、人参、半夏、大棗、甘草で構成され、小柴胡湯の柴胡を黄連に変え、生姜を乾姜に変えたものです。小柴胡湯の方が薬剤性肺障害の報告が多いのですが、半夏瀉心湯も同じような生薬を用いているため、小柴胡湯と同様に注意が必要です。
半夏瀉心湯の何がアレルギーを引き起こしているのかは不明ですが、黄芩が最も疑われています。半夏にもアレルギーの報告例があります。この症例では薬剤性肝障害も生じていました。その機序ついては何も触れられていませんが、やはりアレルギーが疑われます。
この症例は半夏瀉心湯を1か月投与開始し、2週間後に症状が出現しました。19日後に薬剤性肺障害と診断されて半夏瀉心湯は中止し、ニューキノロン系抗菌剤が開始されました。その結果、1週間後には全ての症状が消失しました。

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