質問1
右上4番(歯髄なし+陶器冠(メタルボンドクラウン?)の原因不明の痛みが続いており、辛い日々を送っています。しばしば治療法はないものかとIN検索をしています。昨日、貴院のサイトを見つけ、救われた思いです。早速ご相談のメールをさせていただきました。先生にはご多忙と存じますが、どうかご指導くださいますようよろしくお願いします。
この痛みは1年程前から始まりました。右上4番の歯が痛い、一番はっきり痛いのは3番と4番の間の口の内側で、歯茎が痛いようにも歯が痛いようにも、両方ともが痛く感じられます。
チクチクとした痛み、脈打つようにどくどくもします。痛みはほぼ1日中続いていますが、なぜか歯磨きをしても痛みが増すことはありません。むしろ冷たい水でうがいすると治る傾向にあります。歯間ブラシを当てると3と4の間はするする磨くことができて痛くないのですが、4と5の間はブラシが入らなくくらい腫れているように感じる時と問題なく磨ける時があります。
また、食事中は痛みを感じないことにも気が付きました。それで、痛みが酷い時はガムを噛んだり飴を舐めたりして忘れるようにしています。痛みのある3番の歯でガムを噛んでも痛くはありません。ただ、3番で食べ物を噛んだ日は夜間(何も食べていない時)の痛みがひどくなり、その翌日も強い痛みを感じるように思えます。
何もしていない時、特に入眠時にとても痛くて辛いです。痛みが強い時は昼間、夜間の別なく、うがい(ネオステリングリーンを入れた冷たいお水で)をしたり、歯磨きをし直したりしています。
アフターゾロンを塗ると改善しますが、口腔外科の先生から「長期に使うと真菌症になり易いし、現に3番の上の歯茎が疑わしい状態になっている(3月初め受診時)ので塗らないように。」と言われてから、塗るのを止めていましたが辛いので市販薬のデントヘルスを使っています。デントヘルスも塗ると痛みが和らぎますが、アフタゾロンのように歯茎にくっ付かず、唾液で流れてしまうので効果の時間は短いと感じます。その分、塗る回数はアフターゾロンより多くなっていると思います。(1日4〜6・7回)
痛みが強い時は3番の歯とその周辺の歯茎だけでなく、4・5・6・7番の歯が痛いのかもしれないと思えてもきますし、鼻の中や頬の骨がヒリヒリして、左の顔がズキズキするように感じます。そういう時はロキソニンを服用していましたが、あまり効かないようです。
3〜4日の間に一度くらい?極短時間ですが、「あれ、治ったのかな?」と思うこともあり、「良くなっていくのかな?」と期待できるように痛みが弱まる時もあります。
今はドライマウス?にもなっているようで口の中が乾き、ネバネバで、舌先もヒリヒリして痛いです。常に塩辛い味もします。右上3番と4番の間からいつも塩水が出てきているようにも感じています。
INの他のサイトで「食べている時は痛みを感じない。」というのを見て、私もそうだなと気づき、「突発性歯痛」かな?と思った見たりしていました。この度、先生のサイトで同じ説明が詳しく書かれているのを見つけて、やっぱり「特発性歯痛?」と思え、ご相談のメールをさせていただきました。
左の歯が真面目に治療を続けていながら嚢胞になっていた、それも何度も何度も検査のお願いししなければ先生に発見してもらえなかったというショックが、正直、今も心にかかっています。簡単に「突発性歯痛」としてよいでしょうか? 素人判断ですが実は「突発性歯痛なら歯や歯茎は悪くないので、癌や嚢胞なと重篤な状態ではないのでは?」と逆に安心さえ思えますが、間違いですか?
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
歯が痛いのに異常が見つからない症状を「非歯原性歯痛」といいます。非歯原性歯痛にはいくつもの種類がありますが、原因を調べて治療してみても改善せず、原因がわからない場合は「特発性歯痛」に該当します。
非歯原性歯痛の原因の分類とは別に、この種の痛みは「痛覚変調性疼痛」に該当し、脳が痛みを感じやすい状態が生じていると推察します。また、同時に味覚異常やドライマウスのような感覚の異常を伴うことが多く、精神的なストレスが影響を及ぼしていると考えられます。
痛覚変調性疼痛に対しては抗うつ薬、抗けいれん薬などの薬物療法が試されますが、侵害需要性疼痛や神経障害性疼痛など他の種類の痛みに比べると効果が出にくいとされています。その他の方法としては、認知行動療法などの心理療法があります。