今年のノーベル医学生理学賞を受賞したデービッド・ジュリアス教授は温度センサーであり、カプサイシンという唐辛子の成分の受容体であるTRPV1チャンネルを発見しました。TRPV1は痛みと熱を脳に伝えます。
舌痛症は口腔灼熱症候群とも呼ばれ、痛みとヒリヒリとした熱感を感じる病気です。唐辛子を含む料理を食べると痛みが増すという患者さんがいます。TRPV1の働きを考えれば、なるほどと理解できます。
痛みはないが、唐辛子を含む料理を口にしたとたんに顔が熱くなってとてもおかしな感じになるという患者さんを現在治療しています。以前は唐辛子で特別反応することはなかったそうです。
ミントで舌が痛くなる患者さんもいます。こちらは冷たさを感じるTRPA1チャンネルが関与しています。
面白いことに、唐辛子で舌痛が和らぐという患者さんもいます。写真は皮膚用のカプサイシンクリームで、しもやけや筋肉痛の部分に塗ります。皮膚用のトウガラシチンキもあります。口腔内で使用が認められているものがないのが、つらいところです。