ストレスが唾液分泌量を低下させ、口臭につながることを紹介しましたが、薬によって唾液分泌量を低下させても口臭が強くなることを示した実験結果です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する治療薬に長時間作用性吸入気管支拡張剤のグリコピロニウムがあります。この薬はムスカリン製抗コリン薬であり、唾液分泌が抑制され、口が渇く副作用があります。
この実験ではグリコピロニウム(商品名Robinul)を投与後の口蓋粘膜の湿純度と口臭ガス(揮発性硫黄化合物)の経時的変化を測定しています。揮発性硫黄化合物は簡易ガス測定器ハリメーターを用いています。その結果、グリコピロニウム投与により徐々に口蓋粘膜が乾燥し、同時に口臭ガスが増加することが分かりました。
Kleinberg, I., Wolff, M. S., & Codipilly, D. M. (2002). Role of saliva in oral dryness, oral feel and oral malodour. International dental journal, 52(S5P1), 236-240.