現在わが国のおよそ1500万人、実に8人に1人が胃腸そのものには原因のない胃腸病(機能性胃腸症)に悩んでおり、特に20代〜50代の女性に多いといわれています。この病気のひとつに「噛みしめ呑気症候群」があり、飲み込まれた空気が胃腸内にガスとして貯留することにより、胃腸障害をはじめさまざまな症状が発生するというものです。主な症状はゲップ、胃のもたれ、胃の不快感、腹部膨満感、多量の排ガス、左上腹部の痛みといった胃腸症状の他、食欲不振や頭痛、肩こり、アゴや目の痛みなど多岐にわたります。また、時には心臓など胸部の痛みを訴える場合もあります。
噛みしめ呑気症候群は、緊張やストレスによって引き起こされる心身症のひとつです。そのため、いくつもの診療科を受診してさまざまな検査を行っても、多くの場合で原因は不明のままです。また、出現している症状に合わせて、たとえば整腸剤や消泡剤などが処方されますが、お薬を服用しても効果はありません。そのうち症状はさらに悪化し、やがてはうつ病に至るという悪循環に陥るケースもあり、注意が必要です。
たとえば、胃や腸など消化器に異変を感じるのに、胃カメラや大腸ファイバーで調べても原因がわからない。頭痛があるため、頭頚部のMRI撮影を行ったけれど何もわからない。いくら検査を繰り返して手を尽くしても、なかなか原因解明までたどり着けない病気、それが噛みしめ呑気症候群の特徴なのです。