癌が自然に治ったという広告を時々見かけますが、私自身は見たことがありません。それもそのはずで、その確率は6~10万人に1人と推測されるそうです。この論文の症例は再生不良性貧血に罹患した上顎歯肉癌症例です。試験切除後に急速に増大して緩和ケアが始まりましたが、3か月ほどして腫瘍は完全に消失してしまいました。なぜ癌が消えてしまったのでしょうか
再生不良貧血は自己免疫的な病気であり、造血幹細胞が自分自身のリンパ球によって攻撃され傷害されます。上顎歯肉癌の病変部への組織生検の刺激によって自己免疫が増強され、がん細胞が傷害されたと推測されました。
竹下彰範, et al. “自然退縮した進行上顎歯肉癌の 1 例.” 日本口腔外科学会雑誌 69.3 (2023): 150-157.