歯と歯肉が付着している最上部(歯肉溝底部)から最下部(歯槽頂部)までの長さを「生物学的幅径」といいます。この部分で歯と歯肉が密着していることが重要で、これにより細菌が歯槽骨に侵入することを防いでいます。歯科インプラントとインプラント周囲粘膜との間でも類似の構造が見られます。
虫歯などでインレーやクラウンを歯に装着する際に歯肉縁下(歯肉溝内)にインレーやクラウンが入ることになると、この生物学的幅径が保たれなくなる場合があります。その結果、細菌感染が生じ、痛みや歯肉出血が持続し、歯槽骨の吸収が生じます。
12月に出た生物学的幅径の総説では生物学的幅径に関する定義や研究の歴史、幅径の大きさ、隣接面の生物学的幅径、生物学的幅径が侵害された場合に生じる症状、生物学的幅径を侵害しないインレーやクラウンの作成方法、歯冠長延長術、インプラントの生物学的幅径などが解説されています。システマティックレビューではないので紹介された論文の結果の違いをどう解釈すればよいかわかりませんが、批判的吟味をするほどの論文数がないのだと思います。この総説で新しい内容は生物学的幅径(biologic width)を歯槽頂組織付着(supracrestal tissue attachment)というべきだと記載していることだと思います。
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