患者は28歳で産後に痩せて食欲がない状態が続いていて、最近は胃がきりきりと痛むようになりました。背中が痛く、下痢が生じていました。脾虚肝逆、陰陽失調と弁証し、黄耆建中湯を5日間服用したところ、全快しました。
解表剤である桂枝湯の芍薬を倍量にすると桂枝加芍薬湯となり、下痢や便秘に対する胃腸薬となります。桂枝加芍薬湯に膠飴(水あめ)を加えると小建中湯となり、腹痛(特にストレスによる)に有効で体力の回復などにも用います。小建中湯に黄耆を加えたものが黄耆建中湯で、「金匱要略」には「虚労の里急し諸不足のもの」に用いるとされています。黄耆が補益太陰し、中焦の気をよく建てるとされます。