奈良大学の柴田政彦教授の講演中でご自身が経験された症例です。風邪の治療で前腕に静脈注射を受けた際に神経が損傷し、複合性局所症候群(CRPS)が生じました。その後11年間、手を触ると痛みが生じ続けました。ある日、転落して頭部を強打し、脳挫傷を負いました。回復後に腕の痛みは消失しました。このことから前腕に生じた神経痛は脳の異常で持続していたことがわかります。脳挫傷の際にそれまで続いていた脳の異常がキャンセルされたのです。
Shibata, M., Nakao, K., Galer, B. S., Shimizu, T., Taniguchi, H., & Uchida, T. (1999). A case of reflex sympathetic dystrophy (complex regional pain syndrome, type I) resolved by cerebral contusion. Pain, 79(2-3), 313-315.