むし歯を治療する際には、むし歯になった部分の全てを残さず削り取ることが原則です。2009年、むし歯治療の専門学会である日本歯科保存学会が作成した「う蝕治療のガイドライン」においても、う蝕象牙質は基本的にしっかり除去することが決められています。実際の治療では、カリエスチェッカーという検査液に反応して赤く色が染まった部分がむし歯ということになりますが、この赤い部分を残さないように注意して削ることが重要です。
上記の通り、虫歯は取り残さないことが大原則ですが、進行して神経の近くまで達しているむし歯の場合は話が別です。このようなケースではむし歯を徹底的に削ると歯の神経がある部分、即ち歯髄腔までを削ることになり、神経を抜かざるを得ないという事態に陥ります。しかし、神経を抜いてしまうと歯の強度が低下し、むし歯や歯周病に罹患しやすくなってしまうため、必ずしもむし歯を全て削り取る方法がベストであるとは言えません。つまり、ケース・バイ・ケースなのです。