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遠隔臓器への歯周病の波及

診察法・検査法 2022年03月09日

虫歯を放置すると中には肺や脳に重篤な問題を引き起こすことがありますが、この報告例もそうです。左上6番の歯周病が原因で敗血症性肺塞栓症と硬膜下膿瘍が生じました。
まず敗血症性肺塞栓症ですが、歯周病菌が血流に乗って肺に辿り着き、そこで末梢肺動脈の塞栓が生じたと考えられます。左上顎の病巣で増殖した歯周病菌塊は顔面静脈、内頚静脈、腕頭静脈、上大静脈、右心房、右心室、肺動脈を通って肺に入ったのでしょう。

次に硬膜下膿瘍ですが、歯周病菌が脳に辿り着くには幾つかの経路が考えられます。上顎洞、篩骨蜂巣を通り抜けて頭蓋底から脳に直接入る場合と血流に乗って入る場合です。上顎洞に異常が見当たらなかったので細菌が直接能に辿り着いたのではないようです。この症例では中大脳動脈の閉塞が見られ、血行性感染だったようです。血流に乗る場合は心臓から内頚動脈か椎骨動脈を通って中大動脈に達する経路と顔面静脈を細菌が逆行して嚢内に入った経路が考えられました。開頭して左側硬膜下膿瘍を部分を切除した際にシルビウス静脈の一部に血栓による閉塞を認めたため、頚静脈感染だったことが判明しました。


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