臨床-病理検討会で歯肉に多発したびらん性病変について検討しました。このような症状が生じる病気として壊死性潰瘍性歯周炎、広範型重度慢性歯周炎、自己免疫性水疱症(類天疱瘡、天疱瘡)、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、結核、梅毒、AIDS、扁平苔癬、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、抗IgG-4抗体関連症候群、キャッスルマン病、ベーチェット病、クローン病、Sweet病が俎上に載せられました。
これらの疾患につながる検査が実施されましたが、診断につながる決定的な検査結果は出てきませんでした。歯肉の病変なので広範型重度慢性歯周炎と見なして3DS(Dental Drug Delivery System)とドキシテトラサイクリン内服により症状が改善しました。最終診断は「開口部形質細胞症」という馴染みのない病名でした。
開口部形質細胞症は粘膜固有層や皮膚真皮層に著明な好酸球浸潤が見られる炎症性疾患です。口唇、頬粘膜、歯肉、亀頭、包皮など身体開口部に見られるためにこの名がつきました。