日本学術会議の米国版であるNASEMが顎関節症(TMDs)に関する勧告を2020年3月に出しました。NAEMは全米アカデミーズ、全米科学技術医学アカデミー、全米科学・工学・医学アカデミーなどと訳されます。11項目の勧告は11章、426ページからなる詳しい内容です。
このような勧告が出たのは歯学分野では初めてだそうで、顎関節症が放置できない大きな問題として科学会で認識されているようです。歯科医師の中でエビデンスに基づかない高額で非可逆的な咬合治療が依然として横行している現実を早急に是正しなければいけないという危機意識から勧告が出たのだと思います。
1. 顎関節症のための全国共通コンソーシアムを設立して維持する
2. 基礎研究と技術移転の努力を強化する
3. 顎関節症の公衆衛生負担に関する人口ベースの研究を強化する
4. 患者中心の顎関節治療と公衆衛生介入のためのエビデンスベースを構築するための臨床研究取り組みを強化する
5. 患者ケアを前進させるために顎関節症の評価とリスク層別化を改善する
6. 顎関節症ケアのためのエビデンスに基づく診療ガイドラインと治療の質の指標を作成して維持する
7. 顎関節症の質の高い評価、治療、および管理の費用と受診方法を改善させる
8. 顎関節症と口腔顔面痛のための高度医療センターを設立する
9. 医療従事者のための顎関節症に関する教育とトレーニングを改善する
10.口腔顔面痛と顎関節症ケアの高度/専門的なトレーニングを確立して維持する
11.顎関節症に対する患者意識を高め、患者教育を改善し、悪評を解消する
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. “Temporomandibular disorders: priorities for research and care.” (2020).