ろ胞性歯のう胞は下顎骨臼歯部、特に親知らずの部分に好発します。のう胞が大きくなるまでは無症状な場合が多く、歯の治療の際に大きく発達したのう胞が見つかることがあります。
のう胞は徐々に大きくなるばかりで、自然に治ることはありません。そのため、のう胞が見つかれば摘出する必要があります。のう胞を摘出すれば、生じた顎骨内の空洞は骨が再生して元のような顎の骨に戻ります。
しかし、大きなのう胞を摘出すると、周囲の組織にダメージが加わることがあります。のう胞付近の歯を抜いたり、埋伏している歯を抜いたりする必要がある場合もあります。
周囲へのダメージで一番深刻なのは下顎骨の内部にある下顎管を傷つけることです。下顎管の内部には下歯槽神経や下歯槽動脈が走っています。神経を傷つけると下唇や歯肉の知覚麻痺が生じます。動脈を傷つけると勢いよく出血し、止血に手間取ります。
のう胞を摘出の際のダメージを避ける方法として開窓術があります。のう胞の表面の粘膜を切り取り、残りののう胞上皮を口腔粘膜と縫合します。これによりのう胞腔が開いた状態となり嚢胞内部の圧力(内圧)がゼロとなります。

