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骨粗鬆症の薬で生じる顎骨壊死 

症状・病態 治療法 病気 2015年11月17日

薬剤関連顎骨壊死
ビスフォスフォネートは高齢者の健康を維持するために大変役に立っていますが、問題点もあります。この薬を使っている患者さんに顎の骨が壊死する例が見られることです。
歯を抜いた後に傷が治らず、骨が腐ってきてどんどん広がっていく場合があるのです。これを薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)といいます。MRONJを予防するために抜歯などの手術前にビスフォスフォネート製剤をストップするべきだという説もあります。
ビスフォスフォネート製剤は中止すべきでしょうか?
ビスフォスフォネート製剤などの特定の薬を使用している患者にMRONJが生じます。一方、薬を一切使用していない患者でも抜歯などの手術後にMRONJ と同じような顎骨壊死が生じることがあります。両者の発症率に大きな違いはなく、薬を使った方が少し高いだけです。そもそもMRONJの発症率をとても低 く、薬の影響がどの程度あるのかはっきりしていません。
抜歯の前にビスフォスフォネート製剤を休薬すべきという説がありますが、休薬すればMRONJの発症が抑えられるという証拠もありません。結論としてビスフォスフォネートを中止することなく継続し骨粗鬆症対策を重視すべきだと考えれます。
テリパラチド
ビスフォスフォネートは骨代謝を不治発にすることによって骨粗鬆症の進行を抑えます。骨を新しく作る細胞として、骨芽細胞という細胞があります。副甲状腺 製剤であるテリパラチドはこの骨芽細胞に働きかけることで、骨形成を促します。この効果によって、骨粗鬆症を改善する新しい薬です。
MRONJは骨吸収が進行することにより悪化していきますが、テリパラチドはMRONJの進行も抑えてくれます。今まではMRONJに対する有効な治療薬はありませんでした。そのため、傷口を保護し、感染しないように清潔に保つこと以外に治療法がなかったのです。
テリパラチドは骨粗しょう症に対して有効であり、MRONJに対しても効果が期待できる薬です。ただし、とても高価な薬なのでビスフォスフォネートに取って代わって広く使われる状況にはないようです。

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