むし歯になると歯が黒ずんで穴が開きます。一目瞭然でわかりやすいともいえますが、実際の治療はそう簡単ではありません。むし歯はむし歯の部分とむし歯でない健全な部分に分かれ、この違いを的確に見極めて治療することは容易ではないのです。
むし歯とは元来健康であった歯がむし歯菌の産生する酸で軟らかくなり、徐々に崩壊していく病気です。むし歯でできた穴を削ると、初めは軟らかいものの徐々に硬く なり、さらに削っていくと健全な歯質に達します。ここで削るのをやめる必要がありますが、むし歯になった部分と健全な部分を注意深く見分けないと健全な歯質 まで削ってしまうことになります。しかし、削りすぎを恐れると境界付近の虫歯を残してしまうことになるのです。
このように、むし歯の部分とむし歯でない部分を正確に見分け、むし歯の部分だけを削り取る精密な作業が虫歯治療には欠かせません。それには時間をかけて慎重に治 療を進めるだけでなく、専用の器材も必要となります。特に歯科用マイクロスコープは細部まで鮮明に視覚化できるため、診断においても治療においても強力な ツールであるといえます。