著者は整形外科医として出発し、骨軟部腫瘍を専門領域としました。骨軟部腫瘍には骨肉腫やユーイング肉腫といったものがありますが、難治性で死の転帰を迎えるものも少なくありません。そのためか、著者は緩和ケア医へと転身しました。
緩和ケアは癌性疼痛のコントロールが大事な仕事です、そんな中で慢性痛症の症例にもたびたび出くわし疼痛治療の難しさを痛感しました。慢性痛症の治療を行うために精神科の知識と技術が必要となり、精神科医ともなりました。
このような経歴は私の経験からも大変共感できるものです。私は大学卒業後に口腔外科の医局に残り口腔癌の治療と研究に努めました。口腔癌で亡くなっていく患者さんを診るうちに、必要に迫られて当時黎明期にあった緩和ケアの習得に努めました。
その後開業して口腔内科を専門とするようになり、慢性痛症の患者さんを多く診るようになりました。慢性痛症を治すために精神科の薬や心理学の勉強に精を出している毎日です。