今回の邵輝先生の講義は摂食嚥下障害を取り上げられました。摂食嚥下障害の原因の一つに中気不足(脾気虚)が挙げられます。脾気虚は過労や栄養不足で生じますが、これは昔の日本人や開発途上国で見られる脾気虚の病態です。現代の日本人にも脾気虚が多いのですが、栄養不足というわけではありません。そこには現代病というべき問題が横たわっています。
現代人は冷飲冷食で脾胃を冷やしています。また、冷房に当たり過ぎて衛気を傷めています。さらに、カロリー過多や甘い物好きで内湿の邪気が溜まり、痰飲や痰熱に変化します。冷えに加えて湿により気が抑え込まれることにより、気虚が生じているのです。補中益気湯や四君子湯は気を補って気虚を改善します。
接触嚥下障害のもう一つの大きな理由は脳血管障害の後遺症である「中風」です。芍薬甘草湯は中風の筋痙攣による痛みを和らげてくれます。