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ビスフォスフォネート関連口腔粘膜潰瘍

論文・記事 2020年10月17日

骨粗しょう症の治療に用いるビスフォスフォネートは、破骨細胞の活動を抑えて骨吸収が進行しないようにする薬です。しかし、骨代謝が抑えられることで、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死が生じることもあります。
ビスフォスフォネートで口腔粘膜の潰瘍が生じる例も少数ながら報告されているようです。この症例ではアレンドロネート(フォサマックなど)の錠剤を水で飲み込まずに、溶けるまで口の中に入れていました。日頃から錠剤を含んでいた部分の粘膜に発赤を伴う潰瘍が生じていました。
ビスフォスフォネートは創傷治癒のプロセスを阻害します。口内炎、義歯性潰瘍、細菌感染による粘膜の膿瘍、歯ブラシや食物による粘膜の傷などの治癒をビスフォスフォネートが妨げて口腔粘膜炎が生じると考えられます。
ビスフォスフォネートが直接粘膜を損傷することもわかっています。粘膜上皮のホスファチジルコリンは粘膜の疎水性、耐酸性を保ちます。ビスフォスフォネートはホスファチジルコリンと構造が類似していることから、置換すると疎水性や耐酸性が損なわれます。その結果、リン脂質による粘膜防御機構が破綻し、口腔粘膜潰瘍が生じます。

ビスフォスフォネート関連口腔粘膜潰瘍

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