次に挙げる症状は、顎の関節が発する雑音です。「コリッ」「ポキッ」「カクッ」というような音がクリッキングで、「ザラザラ」「ギシギシ」という小さな音がクレピタスです。クリッキングは、下顎頭が前方にずれた関節円板を乗り越えるときに生じる音です。また、クレピタスは骨と骨同士(下顎頭と下顎窩)が擦れあうときに生じる音です。
このような雑音は、関節円板が前方(ときに側方)にずれることがきっかけで発生します。口を閉じたときには関節円板が前方にずれていて(関節円板前方転位)、口を開けると正常な位置に戻る場合はクリッキング が生じます。口を開けても関節円板が前方にずれたままであれば、雑音は生じませんが、前方にずれた関節円板が開口運動を邪魔し、下顎頭が前方に移動できなくなると開口障害が生じます。これがクローズドロックです。関節円板が前方にずれると、関節円板の後方にある円板後部組織が下顎頭と下顎窩に挟まれて傷つき、穴が開くことがあります。その結果、クレピタスが生じます。円板後部組織が傷つくと、それが原因で痛みが生じることもあります。