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下顎骨関節突起骨折に対する観血的制服固定術

論文・記事 2021年04月19日

スポーツや交通事故で下顔面を強打すると、下顎骨骨折が生じることがあります。骨折した両端の骨をもとの位置に戻してつなぎ合わせ、チタンプレートとスクリューで固定する整復固定術が行われます。
下顎骨関節突起(下顎突起)が骨折すると厄介です。この部分の表層を顔面神経が放射状に広がっているため、この神経を傷つけないように皮膚を切開し、手術を進める必要があります。そのため、下顎突起から離れた下顎下縁下方部や耳前部などを皮膚切開します。切開する方法はいくつかありますが、狭い切開創から骨折部をのぞき込むような状態となり、窮屈な状態で手術する難しさがあります。プレートをスクリュー固定する際もドライバーでスクリューを固定するのが大変で、アングルスクリュードライバーを使用します。ドライバーを入れるためにトロカールで皮膚に穴をあけることもあります。
この論文の著者はHigh perimandibularアプローチを推奨しています。下顎核を含む下顎下縁の直下に4~5㎝の皮膚切開を行い、その下の広頚筋、咬筋を切離します。下顎骨と顔面神経下顎下縁枝の間を皮膚切開することで、下顎下縁枝の神経損傷を防ぎます。
Wilk, A. “High perimandibular approach/modified Risdon-Strasbourg approach.” Fractures of the mandibular condyle. Basic considerations and treatment. Quintessence, Surrey (United Kingdom), 2009. 143-153.  

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