唇顎口蓋裂に対しては幼少時に口唇閉鎖術、口蓋閉鎖術を行います。しかし、口唇裂と口蓋裂の間の顎列の部分(歯が並ぶ部分の裂隙)があり、口と鼻が交通した状態が残ります。9歳頃になるのを待って骨盤の一部である腸骨から海綿骨を採取し、顎列部に移植します。この手術により骨や粘膜の裂隙が消失し、骨移植部から埋伏していた犬歯が萌出してきます。
大阪大学歯学部では十数年前から下顎骨のオトガイ部から採取するように術式を変更しています。腸骨採取に伴う後遺症を避けるためです。腸骨と比べてオトガイ部からの骨採取は骨量が限られます。それを補うためにβーリン酸三カルシウム(β―TCP)を混ぜて使います。
骨量、骨梁幅、骨梁数、骨梁間隙、骨梁パターン因子、構造モデル指標、フラクタル次元をCT画像から分析しました。オトガイ骨とβ―TCPの移植は腸骨移植と比べて遜色がない結果を示しました。