プロバイオティクス入門
最近、TVや雑誌などでよく「プロバイオティクス」という言葉を目にする機会が増えました。
この「プロバイオティクス」とは、いったいどんなものなのでしょうか?
プロバイオティクスは、体内に住む細菌叢(集まり)のバランスを改良し、生体に良い影響を与える生菌のことで、ビフィズス菌など が有名です。これに対比される存在が治療医学で使われる「アンチバイオティクス(抗生物質)」です。これは病原菌を殺すと同時に、有用な菌も殺してしまい ます。プロバイオティクスは、良いものは残し、悪いものだけを排除するという予防医学の発想に基づいています。
プロバイオティクス理論:細菌と人間の相互に有益な関係
人間の体の内臓組織には微生物がたくさん住んでいます。しかし、肌や粘膜(口腔内や鼻腔など)のような表面組織は常に外部の環境に さらされており、他の微生物に簡単に進入され、住みつかれてしまいます(移植)。どこにでも見られるこの現象をノーマルフローラ(口腔内ではノーマル・オ ラール・フローラまたはマイクロフローラとして知られる)と言い、たいてい相互に有益な関係となっています。ノーマルフローラは表面組織から栄養、居心地 のよい環境を与えられ保護されます。一方、表面組織は微生物から栄養素やリンパ組織の発達を刺激する物質をもらうことができますが、それだけではありませ ん。最も重要なメリットは、最も適したノーマルフローラ(善玉菌)が人間に移植されたとき、他の有害な微生物を人間から排除してくれることなのです。
プロバイオティクスの驚異的パワー
ストレプトコッカス・サリバリウス・K12の活躍例として、次の写真をご覧ください。
写真の上2つの円状のエリアはBLIS(悪玉菌を攻撃するタンパク質)を生み出すストレプトコッカス・サリバリウス・K12が他の細菌の繁殖を阻害してい ることを表しており、対して5つの円は同じ条件でBLISを生み出さない細菌が他の細菌に進入されていることを示しています。
この研究で、口や喉、扁桃腺に住むストレプトコッカス・サリバリウス・K12が少ないと口臭発生の増加に直接つながることが分かりました。なぜならストレ プトコッカス・サリバリウス・K12は、口臭の病原体を抑制することが証明されているからです。さらに、ストレプトコッカス・サリバリウス・K12は耳か らの感染や扁桃炎などの病原体を抑制することも分かっており、実験は現在もなお進んでいます。