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自己臭恐怖

心理療法 2016年04月07日

他人が感じない口臭を自分で感じ取ってしまい、出口の見えない悩みのトンネルに入り込む。このような精神疾患を「自己臭恐怖」といい、日本口臭学会によって「口臭不安」と「口臭妄想」とに分類されています。
口臭不安とは「不安障害」の一種です。不安障害とは不安な心理状態が持続することにより心や体に障害が起こる病気を指し、 パニック障害や閉所恐怖症、広場恐怖、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害などがこれに該当します。口臭を心配するあまり人と会話ができな い、外出もままならないというケースでは明らかに口臭不安が疑われます。
一方、口臭妄想は「妄想性障害」の一種で、現実とかけ離れた信念、根拠のない確信を持ち続けることが特徴です。自分には絶対に口臭があると信じ込み、家族や医療関係者から口臭がないと説明されても、頑として譲らないのがこのケースです。
もちろん口臭に留まらず、おなら、わきが、尿臭、汗臭などもまた、「自分の体から不快な臭いが発し、周囲の人に嫌な思いを させ、そのために自分が他人から忌避される」原因となります。これらを含め、自分のあらゆる臭いにとらわれる病気が「自己臭恐怖」です。DSM-4-TR という米国精神医学会の分類で「身体醜形障害」、海外でOlfactory Reference Syndromeといわれる病気が、日本の自己臭恐怖に相当します。
また、上記の身体醜形障害とは「身体表現性障害」の一つであり、身体表現性障害は心理的ストレスが体に何らかの異常を引き起こす病気です。身体表現性障害の特徴は以下の3点です。

  1.心理的要因が関連しているが、本人に自覚がない    
  2.1の理由により、体の異常を治療する診療科を受診する    
  3.体の異常を説明できる問題が、体には見当たらない    
       

フィリップスらが治療した20例のOlfactory Reference Syndromeから、次のような結果が報告されています。

臭いの種類      
 口臭        75%      
汗の臭い      65%      
おなら・便臭    30%      
尿臭        20%      
       
気になる部位      
口         75%      
脇         60%      
生殖器       35%      
肛門        30%      
足         30%      
       
Olfactory Reference Syndromeの精神科的特徴      
臭いを確信      85%      
関係念慮       77%      
※他人の仕草、症状、発言などから自分には臭いがあると考えること      
       
自分の臭いを感じる  85%      
1週間以上ひきこもる 40%      
自殺念慮       68%      
※自殺したいと考えること      
自殺企画       32%      
精神科入院経験    53%

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