大臼歯の歯根は一般的に2本や3本と複数に分かれています。上顎の大臼歯の歯根は1~3本で第1大臼歯では3根ある場合が多く、下顎の大臼歯の歯根は1~4本で第1大臼歯は同じく3根ある場合が多いのです。複数ある歯根の二また三つまたになっている部分すなわち根分岐部に歯周病が進行し、歯周組織の破壊が生じた状態を「根分岐部病変」といいます。
典型的な根分岐部病変では分岐部にのみ深い歯周ポケットが生じ、歯槽骨の吸収がみられます。病気が進行すると分岐部の歯肉がやせて(退縮して)分岐部に生じた空間が肉眼で観察できるようになります。
この部分は狭く3次元的に複雑な形態をしているため、歯石を除去することがとても難しいのです。そのため、根分岐部病変は歯周病の中でも特に治りにくい状態といえます。そのため、一度根分岐部病変が生じた歯は抜歯をすべきであるという意見を持つ専門家も少なくありません。