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エンド由来歯痛詳説

兵庫医科大学歯科口腔外科で歯内療法を担当されていた長谷川誠実先生のWEBセミナーを受講しました。研究面ではラットを使って歯髄の痛みを研究されていました。
歯髄刺激を加えると、海馬で長期増強(LTP)が生じます。この長期増強はイブプロフェンではブロックできませんが、アセトアミノフェンではブロックできます。イブプロフェンは末梢の疼痛閾値を上げて鎮痛効果を発揮します。これに対し、アセトアミノフェンは中枢・末梢の疼痛閾値を上げて鎮痛効果を発揮します。すなわち、アセトアミノフェンが歯髄刺激による中枢監査を押えたということで、歯髄刺激が中枢監査を引き起こすということです。
皮膚に痛み刺激を加えると、海馬で長期増強が生じますが、繰り返し刺激により馴化が生じます。歯髄刺激でも長期増強が生じますが、繰り返し刺激でも馴化が生じず、いつも同じように(強く)痛みます。
歯髄刺激により、ストレスホルモン(血中コルチコステロン)が遊離します。内因性オピオイドはストレスホルモンの遊離を抑制します。歯髄刺激時にナロキソン(内因性オピオイド拮抗薬)を投与すると、ストレスホルモンの遊離抑制が抑制されました。つまり、歯髄刺激による痛みは内因性オピオイドにより抑制されることがわかりました。
Hasegawa, Makoto, et al. “Effects of repeated tooth pulp stimulation on concentrations of plasma catecholamines, corticosterone, and glucose in rats.” Neurological research 36.8 (2014): 757-762.
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1179/1743132813Y.0000000313

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