講師は日本大学歯学部口腔診断学講座の今村佳樹教授でした。今村先生は舌痛症(口腔灼熱痛症候群)が神経障害性疼痛であるかどうかを検討されました。舌痛症の原因については永らく不明でしたが、舌の組織切片上で細径神経線維の萎縮が見られ、神経線維の数が減少していることが観察されたことをきっかけに、神経障害性疼痛と考えられるようになりました。別にTRPV1受容体の数が増加していることも報告されています。
しかし、神経障害性疼痛に否定的な意見もあります。今村先生の結論は末梢における神経障害の要素は小さく、中枢における痛覚変調性疼痛の要素が大きいということでした。特に下降性疼痛調節機構の変調が強いということです。