2010年にこの論文を読んだ際にはβ-ガラクトシダーゼに関する知識がなかったのですが、その後の口臭学会で紹介されてその働きが理解できました。今回のEBAC合同研修会で詳しく聞けたので、さらに理解が深まりました。
β-ガラクトシダーゼはグラム陽性菌が産生し、含硫タンパク質の糖鎖が切断されて分解されやすくなります。この含硫タンパク質は歯周病菌(グラム陰性菌)が産生するプロテアーゼ、ペプチダーゼによって分解され、分子中に硫黄を含むアミノ酸であるシステインやメチオニンが生じます。システインやメチオニンがそれぞれの分解酵素によって分解され、代表的な口臭ガスである揮発性硫黄化合物が発生します。
49名の口臭症患者の唾液中のβ-ガラクトシダーゼを測定したところ、多い群(10名)と少ない群(39名)に分かれました。多い群は口臭が強く、舌苔が多いことが分かりました。
Yoneda, M., Masuo, Y., Suzuki, N., Iwamoto, T., & Hirofuji, T. (2010). Relationship between the β-galactosidase activity in saliva and parameters associated with oral malodor. Journal of breath research, 4(1), 017108.