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オトガイ形成術の下顎前歯の麻痺と痛み

メール相談 2023年05月16日

質問1

顎の輪郭手術(中抜き)をしてから1週間が経ちます。中抜きは顎の骨をだるま落としのように切り抜く術式です。下の前歯付近の歯茎の感覚がありません。(麻酔されている感じ)さらに下の前歯がムズムズする麻痺のようなものを夜になると強く感じます。また歯がズキズキ痛むのが続いておりとても辛いです。これは術後の合併症なのでしょうか?改善する治療はあるのでしょうか?

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

下顎の前下方部(オトガイ)が出過ぎている、後退している、上下に長すぎるなどの場合には下顎骨を切断し、オトガイ部を移動させることにより改善をはかります。これがオトガイ形成術です。

オトガイ部付近の下顎骨の内部には下歯槽神経が走行しているため、手術で神経を傷つけてしまうと下唇の知覚が麻痺したり、下顎前歯の感覚が麻痺したりします。現状、このような神経損傷が生じていると推察します。

歯がムズムズし、ずきずきと痛むということですが、一般的に歯の痛みが強い場合に歯の神経を抜く(抜髄)が行われますが、神経損傷による麻痺と痛みに対しては抜髄しても痛みが改善しにくく、かえって悪化する場合があります。従って、抜髄には慎重であるべきでしょう。

神経損傷による麻痺を伴う痛みのことを神経障害性疼痛といい、抗うつ薬や抗けいれん薬の内服が一般的な治療法となります。手術を受けた医療機関でご相談されることをお勧めします。

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