私が発表した症例です。50代女性で右下の臼歯がしみるという主訴でしたが、歯には異常が見当たりませんでした。強い痛みが生じ、1分間ほどですぐに痛みが消失するということでした。また、口を動かすと痛みが生じることがあるといった点から、三叉神経痛第3枝と診断しました。
三叉神経痛の特効薬であるカルバマゼピンが無効だったため、漢方薬を試してみることにしました。風寒、水滞、肝鬱と弁証して葛根湯、五苓散、抑肝散を2週間分処方したところ、痛みは軽減しました。その後少しずつ方剤の組み合わせを変更し、最も効果がある方剤を探してみました。最終的に葛根湯、桂枝加朮附湯の組み合わせで痛みが消失しました。
葛根湯、桂枝加朮附湯の組み合わせは葛根加朮附湯と似ています。そのため、葛根加朮附湯の単剤処方でもよかったのかもしれません。しかし、冷えもある患者さんだったので、桂枝の温める効果も症状改善に寄与した可能性があり、葛根湯、桂枝加朮附湯の併用の方がよかったのかもしれません。