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小児シェーグレン症候群

学会・研究会 2024年05月15日

ラヌーラ(ガマ種)は口腔底が風船のように膨らむ病気で、内部には唾液が溜まっています。ラヌーラには溢出型嚢胞と貯留型嚢胞の2種類があります。溢出型嚢胞は外傷や機械的刺激によって唾液腺組織(導管)が傷つき、周囲の粘膜下組織に唾液が漏れ出して溜まることで生じます。貯留型嚢胞は炎症や先天異常によって導管が閉塞し、その先に唾液が溜まることで生じます。貯留型嚢胞は再発を繰り返したり左右両側に生じたりすることがあります。

貯留型嚢胞ができる原因として炎症が挙げられますが、炎症が生じる病気の1つにシェーグレン症候群があります。この症例は13歳女子に生じた両側性、再発性のラヌーラであり、小児シェーグレン症候群が原因でした。シェーグレン症候群は唾液腺や涙腺が免疫反応によって傷ついていく自己免疫疾患です。この病気は中年以降の女性に多く、小児では20万人に1人程度と稀な病気です。

小児シェーグレン症候群は倦怠感、反復性耳下腺腫脹、頭痛、微熱、筋骨格系疼痛、胸痛、嘔気、腹痛、めまいなどで医療危機感を受診することが多いとされています。一方で口や目の乾燥感を訴えることは非常に少ないことが分かっています。

渡辺紘士, and 篠原治征. “両側性ラヌーラを契機として診断に至った小児シェーグレン症候群の 1 例.” 日本口腔外科学会雑誌 69.5 (2023): 281-286.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms/69/5/69_281/_pdf

小児シェーグレン症候群

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