デンマーク・オーフス大学歯学部保存科のBente Nyvad名誉教授と東北大学歯学部エコロジー歯学講座の髙橋信博教授の総説論文です。生理的な状態では、口腔内はpH 5.5–7.0と中性付近に保たれています。一方で、う蝕はpH 5.5–7.0と酸性で、歯周病はpH 7–7.5とアルカリ性で生じやすくなります。全く逆方向の条件下で生じる2つの病気をまとめて説明しようとしたのがこの論文です。
この論文ではpH 5.5–7.0と中性付近に保たれている生理的な状態を「動的静的範囲」と呼んでいます。pH は飲食物に含まれる炭水化物の影響でこの範囲を超えて変動しますが、「生来の回復力」ですぐにこの範囲内に収まります。「生来の回復力」は唾液、歯肉溝浸出液、非角化上皮によってもたらされます。
Nyvad, Bente, and Nobuhiro Takahashi. “Integrated hypothesis of dental caries and periodontal diseases.” Journal of oral microbiology 12.1 (2020): 1710953.
https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/20002297.2019.1710953