中医学の陰陽二元論の1つに表裏があり、裏は内臓など体の中を指します。寒邪が侵入したり、陽虚になったりする寒証で裏が冷えている際に暖める生薬が温裏薬で、散寒薬ともいいます。貧しくて食物に事欠き、体が弱ると冷えて寒証になる場合もありますが、現代人の場合は飽食の末に湿が溜まり、胃腸が冷えることが多くなっています。
附子
トリカブトの主根の横にできる子根が附子で、熱を加えたり塩漬けにしたりして(修治)毒性を弱めます。強心作用、鎮痛作用、消炎作用、下垂体‐副腎系の興奮作用があり、温陽利湿に用いられます。
乾姜
ショウガを蒸して乾燥させたものが乾姜です。循環促進作用、健胃止嘔作用、昇圧作用があります。
肉桂
クスノキ科のニッケイの枝や幹の皮を乾燥させたものです。循環促進作用、健胃作用、リラックスさせる働きがあります。
鹿
満州鹿の骨質の角を生薬にしたものです。活血、消腫、補腎作用があります。
呉茱萸
ミカン科のゴシュユの果実を乾燥させたものです。利尿作用、抗菌作用、麻酔作用、子宮収縮作用があります。
蜀椒
四川省の山椒で麻婆豆腐に使われます。利尿作用、抗菌作用、駆虫作用、麻酔作用があります。
丁香
フトモモ科のチョウジの花蕾を乾燥させたもので、西洋ではクローブと呼ばれます。健胃・整腸作用、抗菌作用、抗真菌作用、抗ウイルス作用があります。
高良姜
ショウガ科良姜の根茎を乾燥させたものです。潰瘍修復作用、鎮痛作用があります。
小茴香
セリ科ウイキョウの果実で、西洋ではフェンネルと呼ばれます。健胃作用、鎮痛作用があります。
大茴香
シキミ科のダイウイキョウの果実で、西洋ではスターアニスと呼ばれます。健胃作用、抗ウイルス作用があります。果実の形から八角とも呼ばれ、東坡肉に入っています。
胡椒
ひたすら胃腸を温め、痛みや感染に効果を発揮します。