虫歯が進行して歯の神経(歯髄)に近づくと、虫歯菌が歯髄に侵入しようとします。これに対して生体は防御反応を示し、虫歯に近接する歯髄の表面部分が硬い歯質(象牙質)に変化してバリアーを築きます。これらの反応を助けるのが、カルシウムなどのミネラルを豊富に含むMTAというセメントです。
MTAとは歯の治療に用いるケイ酸カルシウムを主成分としたセメントの一種で、大変高価で保険適応外の材料ですが、他のセメントにはない優れた性質を持っています。ちなみにMTAとはMineral Trioxide Aggregateの略で、直訳するとミネラル三酸化物集合体となります。
MTAの持つ強いアルカリ性が歯髄の細胞を刺激し、補綴象牙質が形成されます。そのパワーは保険適応の覆髄剤である水酸化カルシウムよりも強く、殺菌作用もあります。
MTAは覆髄剤として用いられるだけでなく、穿孔封鎖剤、根管充填剤、逆根管充填剤としても優秀で、上質な自費治療には必要不可欠な材料です。