2011/6/25
相談: (20歳 男性)
こんにちは。不安なのでお訪ねさせてください。右奥の水平埋没知歯を抜歯したところ、一週間後に突然舌の前方部分がピリピリとしびれ始め違和感を感じています。私は小学生のころからパニック障害があり、メンタル面では一般の方より不安定な部分があります。一番問題なのは舌のピリピリに囚われて不安が増殖してしまい、パニック障害が再発してしまいそうなことです。
この場で効くのも不躾なのですが、この症状は治るものでしょうか?また、抗うつ薬と抗不安薬が有効だと聞きましたが、今かかっている精神科の医師に治療をゆだねてもいいですか?どうかよろしくお願いします。
回答:口腔内科 樋口均也
舌のしびれの原因として考えられるのは、抜歯によって舌の神経に損傷が生じ、しびれが出たという可能性です。下顎の埋伏智歯のすぐ内側(舌側)には舌神経が走行しているため、麻酔注射や抜歯の際に傷つく場合があるのです。
舌神経が完全に切断されると片側の舌の感覚がなくなるものですが、ピリピリする程度であれば切断されてはいないでしょう。回復するには日にちを要するかもしれませんが、いずれは元の状態に戻るはずです。ビタミンB12の内服や星状神経節ブロックが、回復を助ける手段として有効です。
ただし舌のしびれは舌神経の損傷ではなく、「舌痛症」の症状かもしれません。食事中は症状が軽快し、何もしていない時ほど症状が強くなるのが舌痛症の特徴です。ドライマウスや食いしばりが関係しているケースもよく見られます。
舌痛症に対してはうがい薬やビタミン剤、抗真菌剤、抗けいれん薬、抗うつ剤、抗不安薬、漢方薬など、さまざまな薬が治療に用いられますが、抗うつ薬が効果的な場合が多いといえます。
舌のしびれが神経の損傷によるものなのか、それとも舌痛症が原因なのかについて、精神科の先生は判断できないかもしれません。従って、抜歯をうけた歯科で診察を受け、精神科での薬物療法の必要性について判断を仰がれることをお勧めします。