破傷風は傷口から破傷風菌が侵入して口が開きにくくなる病気です。つまり細菌が中枢神経を侵すことで発症するもので、全身けいれんの他、呼吸筋がけいれんして窒息死する場合もあり、発症すると致死率が5割に及ぶと報告されています。
破傷風は手足などに傷を負ってから発病するまで、2日から8週間の潜伏期間があります。発病初期は首筋の凝りや開口障害、嚥下障害、全身の倦怠感などが見られ、その後は開口障害の悪化によりひきつったような笑い(破傷風顔貌)が起こります。
重要なことは、この時期に「口が開かないのは顎関節症が原因」と決めつけず、専門医を受診することです。血液検査や細菌検査の後、抗破傷風免疫グロブリンというワクチンを接種することにより、破傷風菌が出す神経毒素を中和することが可能です。
破傷風菌に対しては抗生物質の点滴で菌の増殖を抑え、けいれん発作に対しては鎮静薬を点滴に加えて対処します。また、呼吸困難に対しては気管切開を行った上で気管に管を入れて人工呼吸器につなぎ、全身麻酔をかけることになります。