2014/3/17
相談: (53歳 女性)
2年前に耳の前付近の痛みが続いた時に、樋口先生にご相談して夜中の食いしばりが原因とわかり、マウスガードの使用でお陰様で、たまに痛みがあるくらいでおりました。ところが十日前に整形外科で受けた首の牽引の最中に、耳の前付近にずっと違和感があり、やばいかなーと不安になりました。その後も以前より痛みが気になったり、口をしばらく開けていると痛くなってきます。顎に悪いことが起きたのか、自然に治っていくのか、ひやすのと温めるのとどちらが良いか、牽引はやめた方がよいのかなど、よろしくお願い致します。
回答:口腔内科 樋口均也
整形外科での首の牽引により頸椎の変位や近接、頸髄への圧迫による症状が改善します。ただし下顎を頭頂方向へ牽引することは頸髄への負担を軽くする効果がある一方、顎関節に対しては悪影響が生じる場合もあります。
顎関節についても、圧迫される方向に偏位すると痛みや雑音、開口障害が起こる可能性があります。下顎を頭頂方向に牽引するという行為は顎関節を圧迫することになるため、下顎を下方や前方に動かす体操をすることにより、顎関節の関節腔が拡がって症状が改善します。
牽引により耳前方にある顎関節の違和感や痛みが生じたのであれば、牽引の強さの変更もしくは中止を検討された方がよいでしょう。首の症状も考慮する必要があるため、整形外科の先生とよく相談されることをお勧めします。
また、顎関節周辺の痛みが顎関節症による場合は、安静にすることで強い痛みは軽減するはずです。強い痛みに対しては冷却し、鈍い痛みは顎関節を動かす体操を行って温めると効果的です。
顎関節の痛みイコール顎関節症とは限りません。顎関節の細菌感染による炎症性顎関節炎や骨の亀裂などによる外傷性顎関節炎、外耳炎、副鼻腔炎、副咽頭隙の細菌感染や腫瘍、舌咽神経痛など、他の可能性も考えられます。一度、歯科か口腔外科を受診されることをお勧めします。