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6年前の歯根端切除術から脈打つように常時うずきます

2014/6/6

相談: (28歳 男性)

10年前の上顎犬歯根っこの治療から症状が出るようになり。1日数回うずく程度でしたが。6年前の歯根端切除術から、脈打つような常時うずくような違和感が何倍も強まってしまい。寝てる時以外つねに症状があります。上顎犬歯を抜歯しましたが良くならず。

非定型歯痛の治療で、トリプタノール・トラムセット・リボトール・アラフラニール・リリカを処方しましたが効きませんでした。現在、歯科用CTや医科用CTやエコーで検査しましが悪い所がないです。ビタミンB12や針治療もやりました。現在どうしていいかもう分からなくなってしまいました。この症状は痛みは一切なく強い違和感だけです

回答:口腔内科 樋口均也

上顎犬歯の根の治療(歯内療法)後、痛みが生じたということですね。根の先の部分やその周囲の骨に、虫歯菌による炎症が起こって痛んだのでしょう。このような細菌感染による問題は、歯内療法では治せない場合があります。根の先の炎症に対して、問題のある部分を取り除いてしまう歯根端切除術により、炎症が消失して痛まなくなったと推察します。

さて手術後に生じた違和感についてですが、手術の際にこの部分の神経が傷ついた可能性があります。手術を行えばその神経は必ず傷つくものですが、通常は自然に治癒します。しかし時に痛みや違和感が持続するケースもあるため、恐らくこのような状況で違和感が続いているのでしょう。

神経の損傷による違和感に対しては、早期の場合はビタミンB12や星状神経節ブロックで症状が消失することもありますが、慢性化した場合はトリプタノールなどの薬物療法やはり治療が効果を発揮します。

トリプタノールやリリカなどさまざまな薬が処方されたようですが、全く効果がなかったのでしょうか。十分な効果が見られるまで増量しても無効だったのでしょうか。トリプタノールは80㎎で半数、150㎎で4分3の症例に対して有効です。

リリカは1日600㎎まで増量が可能なので、これより少ない量で効果なしと判断されたのであれば、増量により効果が見られるかもしれません。

また、違和感に対しては薬物療法以外に認知行動療法も効果的です。一度試されてはいかがでしょうか。

2014/6/10

相談: (28歳 男性)

質問に対する回答ありがとうございますどうしたらいいのか悩んでいたので凄く嬉しいです

トリプタノール10mgを1日10粒=100mgまでは飲んでいました。リリカは75mgを1日2粒=75mgまでは飲んでいました。いずれも飲んでいて症状の変化はありませんでしたので治療は終了してしまいました。

自分の場合、薬の副作用は大丈夫な方でした。痛みがないなら非定型歯痛ではないと判断された事があるのですが、痛みのない違和感だけの非定型歯痛など似た症状はありえますでしょうか?

星状神経節ブロックは1度だけやった事があります。症状の変化はありませんでした。
違和感が酷くなり6年経っていますが、数回やった方が効果はありますでしょうか?

認知行動療法は、どのような科を受診すればよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします

回答:口腔内科 樋口均也

上顎犬歯の根の治療(歯内療法)後に痛みが生じたということですね。根の先の部分やその周囲の骨に虫歯菌による炎症が生じて痛んだのだろうと思います。このような細菌感染による問題を歯内療法では治せない場合があります。

根の先の炎症に対して、問題のある部分を取り除いてしまう方法が歯根端切除術です。この手術により炎症が消失し、痛まなくなったのだと思います。

さて手術後に生じた違和感についてですが、手術の際にこの部分に走行する神経が傷つき、このような症状が生じたのだろうと考えられます。手術をすれば手術野の神経は必ず傷つきます。通常は傷ついた神経は自然に治るのですが、時に痛みや違和感が生じて持続することがあります。このような状況で違和感が続いているのでしょう。

神経損傷による違和感に対しては発症早期にはビタミンB12や星状神経節ブロックで症状が消失することがあります。慢性化した場合はトリプタノールなどの薬物療法やはり治療が有効な場合もあります。

トリプタノールやリリカなどさまざまな薬が処方されたようですが、全く効果がなかったのでしょうか。十分な効果がみられるまで増量していくのですが、増量しても無効だったのでしょうか。トリプタノールは80㎎で半数、150㎎で4分3の症例に効果がみられます。

リリカは1日600㎎まで増量可能です。もし、これらより少ない量で効果なしと判断されたのであればさらなる増量で効果がみられるか試してみたらよいと思います。

違和感に対しては薬物療法以外に認知行動療法という治療法もあります。こちらも試されてはいかがでしょうか。

2014/7/9

相談: (28歳 男性)

返信ありがとうございます。詳しい情報とても助かります。

6年前の歯根端切除術をした時、当時、私は22歳だったのですが、先生は私と年齢が変わらないような若い研修医の先生で、手術中、指導医の先生がたまに見にきて、手術の仕方を指示していました。手術中これまで体験した事がない、気を失いそうな痛さの中で、ずっと我慢しての治療でした。

違う大学病院の麻酔科の先生に、この時の痛さを脳が覚えてしまって、今の症状が出ているのかもしれないと言われたのですが、非定型歯痛は、激しい痛みで脳の回路が誤作動して発症しますでしょうか?

自分としては、この時の凄く痛い痛みが原因なのか。

・手術で切った時の影響で神経障害性疼痛になっているのか。
・右上顎犬歯周辺の歯槽骨を削った影響で血流が悪くなったのか(エコーで調べてもらった所、血流の悪い結果が出ていました。骨がうまく形成して治らなかったのかもとも言われました。MRIの結果は、上顎犬歯の鼻近くにある両側の血管が、右側の方が太いようです)
・歯槽骨の中に、CTやMRIやエコーでも分からない異物があるのか(歯科大学の歯科用CT・MRIなどでは何も映っていませんでしたが、違う病院の医科用CTで根っこの先  のような物が写っていると言われました、ですが歯科大の先生は医科用CTより歯科用CTの方が鮮明に映ると言っていました)1番最初の症状が出始めた時のレントゲンでは、根っこの先から樹脂製の薬が飛び出ており、その周辺から黒く写っていました。初めての歯肉切り手術で、薬だけをだす手術をしました。薬は取れたものの黒く写っていたのは消えませんでした。この薬の異物が、歯槽骨にまだ残ってしまっているの かも気になります。

5月に、右上顎犬歯の歯肉を切り、小さな瘢痕組織を取り症状が改善しなかったので、7月にまた右上顎犬歯の歯肉を切り、前回より広めに見てもらい、ループ状の血管を真っ直ぐにしたり、血管を取ったり、小さな瘢痕組織を取りました。現在も症状は変わらない状態です、神経障害疼痛の事を調べると、難治な病気のようで、非定型歯痛の方が、薬で症状が消える場合もあるようですが、どちらの場合も症状改善と完治は難しいでしょうか?長文になってしまって申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

回答:口腔内科 樋口均也

上顎犬歯の根尖付近の骨内に感染源が潜んでいる可能性はありますが、複数回手術を受けられていることからその可能性は低いと考えます。

やはり歯根端切除術後に生じた神経障害性疼痛の可能性が高いと推察します。激しい痛みで脳の回路が誤作動するのではなく、痛みの程度とは無関係に神経障害性疼痛は生じます。

神経障害性疼痛と非定型歯痛は別者ではありません。神経障害性疼痛は痛みが生じる原因が神経障害である一方、非定型歯痛は歯が原因ではない歯の痛み全体を指します。

このように神経障害性疼痛は原因、非定型歯痛は場所(部位)を示す病名であり、異なる概念なのです。従って上顎犬歯の違和感は神経障害性疼痛であり、かつ非定型歯痛である可能性が高いと考えられます。

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